皆さま、こんばんは。
このような辺境まで、お越し頂き、ありがとうございます。
遂に佳境を迎えた、サクラダリセットですが、皆さま楽しんでいらっしゃるでしょうか?
私の様に、毎週、テレビの前で正座待機してしまう程ハマっている人もいらっしゃると嬉しいのですが……。
それは、兎も角、物語も最終段階に入りまして、先日終了いたしました。
最終章に突入してからは、スピード感もそして、伏線回収も素晴らしいの一言です。
今迄積み上げて来た物を、これでもかと使い倒して、魅力あふれる構成にしてくれています。
アニメの製作スタッフ様には、一ファンとして、本当にお礼を言いたいです。
素敵な作品に仕上げてくれて、ありがとうございます。
さて、とは言え、スピード感があり過ぎて、今迄の情報が理解できてないと、置いて行かれるのも事実。
そこで、毎度ながら、分かり難い所を重点的に、軽く解説していきたいと思います。
ですが、少々情報量が多すぎる為、今回は小分けに紹介していきます。
まずは、20話について書きました。
また、前半戦を含め、今迄の解説記事はこちらになります。
・サクラダリセットのススメ
・中学生編まとめ①
・第3・4話まとめ
・第6~8話まとめ
・第10話まとめ
・第12話まとめ
・第12話~15話まとめ
・第16話~19話まとめ
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能力の無くなった咲良田
浦地政宗の野望は成就し、咲良田から能力の記憶が消えうせました。
その世界についてのお話を少しだけ解説したいと思います。
世界から能力が失われた訳
第20話では、いきなり咲良田から能力がなくなった為、その仕組みを理解していないと何が起こっているのか分からなくなります。
そこで、前回も説明いたしましたが、改めてその仕組みを簡単におさらいしておきます
・『指定したものを失わない』能力を持つ 浦地 晴子
彼女のロックが解除され、能力の使用を止められた瞬間、この世界は能力を失ったのです。
そして、その結果、咲良田全ての人たちの記憶が改ざんされました。
ケイの家でチキンカレーを作り、帰路についていた相馬菫も、その瞬間、記憶が書き換えられます。
鞄や自分の格好について疑問を抱く物の、能力の影響ですぐに都合の良い解釈へと置き換えられ、納得してしまいます。
勿論、そうしているのは、
・『世界中から特定の情報を消し去る』能力を持つ 浦地 清次郎
の力に他なりません。
彼はロックされたままなので、システムとして永遠に世界から能力を奪い続ける存在なのです。
そして、その事は、能力がなくなった瞬間、世界中から忘れられました。
その妻である浦地晴子も、子供である浦地政宗も、能力に絡むことで、父親がシステムになったという事実を忘れ、都合の良い記憶で補てんします。
そうして、一夜にして咲良田からは能力が失われ、元々、能力など存在しなかったという記憶を植え付けられた人々の新たな生活が始まります。
雨が降り始めたのは宇川さんが能力を忘れたせい
能力が消し去られた日。
その前に、宇川さんは、空の雨雲を能力で消し去っていました。
ですから、相馬菫と浅井ケイがチキンカレーを食べていた頃まで、外は晴れていたのです。
ですが、彼女が能力の存在を忘れた瞬間、能力はその意味を失い、空には雨雲が戻りました。
公式のキーワードには、宇川さんの能力について、詳しい説明があります。
※以下公式からの引用です
宇川沙々音(3) 物質を好きなように作り変える能力を持つ。生物には使えないが、それ以外なら形を変えたり、消したり、何もないところから作り出すこともできる。大きさの制限はなく、惑星を二つに割ることもできるという。宇川自身はこれを「世界を修正する能力」だと自称する。
能力を使う時は、約一分間、変化した後の状態をイメージし続ける。途中で意識が乱れた時は最初からやり直さなければいけない。また、変化させたことを忘れると元の状態に戻る。そのため宇川は、能力を使っている事を忘れないよう、きつめの指輪をはめて、その違和感で意識を集中さている。
彼女が能力を忘れ、雨雲が空に戻った。
これが、咲良田から能力が失われたという合図でもあった訳ですね。
世界中でただ一人、能力を忘れられない浅井ケイ
作中で表現されておりましたが、浅井ケイだけが、世界でただ一人だけ、能力の事を覚えていました。
浅井ケイの能力は、記憶保持なので、彼の元の記憶と、後から強引に書き込まれた偽りの記憶がどちらも存在する事になります。
ここで、一応、おさらいなのですが、彼の記憶保持には特徴が存在します。
これは、私なりの解釈になりますが……彼が脳に記憶していない事を思い出そうとした場合、苦痛が走るという物です。
今迄、リセットした後、彼が口癖のように「リセットしたみたいだね」と言うシーンがあると思います。
その時の彼の表情が苦痛に歪んでいるのを、今迄見て来た方は理解していると思います。
リセットは、物理的な再構築です。
リセットすると、脳の中のシナプス回路も、何もかもが物理的に全てセーブ時点に戻ります。
皆の記憶が巻き戻るというのは、そう言う側面があるという事です。
※以下公式からの引用です
浅井ケイ 記憶保持の能力を持っている。過去をすべて思い出せる。春埼のリセットによっても消されない強力な記憶保持能力である。物理的な肉体であるケイの脳は、リセットによって一旦は記憶が消さける。しかし、能力によってもういちど記憶が蘇る。三日分の記憶が一気に流れ込むのは、ケイにとって苦痛である。
その中で、浅井ケイは、自身の能力によって、記憶を忘れません。
という事は、脳のシナプスを能力によって書き換える作業が発生してると思います。
そりゃ苦しいでしょうね……。
彼は、セーブした後、5分前の記憶を確認するという作業を行っていました。
リセットは時間を超えないので、5分前の記憶を探れば、リセットしたかどうかわかる訳です。
そんな彼が、咲良田の能力を忘れる為に、無理矢理記憶を書き換えられればどうなるか……
まぁ、そりゃそうですよね。
苦痛に喘ぐ彼には、そんな理由があった訳です。
能力の無い世界での相馬菫
一度死んで蘇った彼女ですが、能力に関する記憶が咲良田から書き換えられたことにより、居場所を確保する事となります。
その居場所とは……
そう。元々、春埼の場所だった所に、埋め合わせの様に収まる形になったのです。
これは、後ほど書きますが、春埼が浦地によって、時間を巻き戻された事に関係します。
また、同時に、相馬菫が、そのポジションを強く望んだ事もその理由の一つです。
能力が忘れ去られた事によって、埋め合わせされる記憶は、整合性の取りやすい物が優先される傾向にある様です。
ですので、巻き戻され中学時代の記憶しか持たない春埼と、
強くケイの近くに居たいと思っている相馬では、書き換え安さとして相馬に軍配が上がる訳です。
その結果、今迄春埼の居た場所に、相馬が収まるという形になったのです。
作中で描かれていた通り、能力の無くなった彼女は、
勿論、根っこの部分は変わらないにせよ快活で普通の女の子でした。
浅井ケイに『何てことだ』と言わしめるほど、普通だったのです。
それだけ、彼女の能力が人格に影響を与えていた事を、ここでも示唆しております。
先の話でこちらは詳しく触れられておりますが……
何故かと言えば、彼女の能力が対象の感情と思考をも共有するからです。
それは、言ってしまえば記憶の共有です。
自分自身の記憶に強制的に上書きされる、相手の記憶。
そんなもの能力使用の度に書き込まれていたら、自我が崩壊してもおかしくないですね。
彼女が疲弊し老成していたのは、そう言う理由があります。
そして、何故、彼女がケイの事を好きになったか。
いえ、彼の事しか見えなくなるくらい、深く捕らわれてしまったかも、そこに理由があります。
こちらは、後ほど、まとめて解説したいと思います。
能力が無い世界での春埼美空
こちらの状況は、能力を失う前に時間を巻き戻された事が影響し、より複雑化しています。
彼女の時間は、浦地政宗によって2年と7カ月……つまり、浅井ケイと会う前まで巻き戻されました。
そして、咲良田から能力が消え去る前に、救急車にて病院へと搬送されています。
その際、岡絵里は、春埼から能力を奪いませんでした。
これにより、最悪の事態が回避された物の、咲良田から能力が失われ、
皆の記憶が書き換えられたことで、春埼を取り巻く人々の記憶も、それに即した物へと変わります。
まず、能力の無くなった咲良田で目覚めた彼女のスタートが、病院であった事、また救急車で運ばれた事から、彼女は病人として設定されました。
勿論、実際には病気などありません。
そして、彼女の居たポジションには、相馬があてがわれた事。
更に、記憶を巻き戻された彼女……2年7カ月前の彼女が、殆どの人と関係性を持っていない為、
彼女の居場所はなくなり、辻褄を合わせる為に、彼女は病気で長期療養している形になっています。
勿論、能力で身体も巻き戻されたので、高校生の服のサイズは、会うはずがありません。
彼女自身の認識は巻き戻された中学生の記憶がベースですが、周りの認識が、彼女を高校生と認識しているので、それに即した改変が行われるわけですね。
そして、それを、痩せたという認識でごまかされてしまうあたり、能力を忘れさせる浦地清次郎の力の凄さが改めて際立ちますね。
能力を失った事により不幸になった人々
先だって夢世界で出て来た、片桐穂乃果さんの様に、能力によって命を長らえていた人もいました。
ですが、能力がなくなった事により、その力で長らえていた彼女の命は潰える事となりました。
描かれていませんが、能力がなくなった事で、不幸になった人も存在するという事を示唆しています。
窮地の中でのリセット
さて、その後、無事、リセットによって全てをひっくり返す事に成功した浅井ケイですが……
そもそも、このリセットがどうして可能であったのか、いまいち分からなかった人もいるのではないでしょうか?
そこで、こちらの件は、少し順序だてて、説明していきたいと思います。
上手に泣くため咲良田を出た浅井ケイ
彼は、咲良田を出ました。
それは、自分の原点を振り返る為の、旅の様な物だったのかもしれません。
元々、何故彼が故郷を訪れたかと言えば、後に春埼と対峙した時に上手く泣くためです。
勿論、それだけでは無いでしょうが、それも理由の一つであったことは間違いありません。
しかし、そこで、必然とも言える出会いが起こります。
そう。浅井ケイの母親と、その娘……ケイからすれば妹との出会いです。
彼はそこで、贖罪の機会と、自分のルーツを知りました。
ここでの話は、本当に心に染みる話なので、是非、また確認して欲しいです。
こちらも、いずれ解説いたしますが、浅井ケイの罪悪感と悩みがここで解決しました。
その結果、彼は、覚悟を決める事が出来、力強く前進する事となります。
因みに、全くの蛇足ですが、妹の恵(めぐみ)ちゃんがめっちゃ可愛かった。
これぞ、アニメの醍醐味! 「バイバイ!お兄ちゃん!」の破壊力ったら、もう!?(駄目)
能力を思い出せ無い咲良田で能力を使う方法
春埼のリセットは、岡絵里に封印されなかったものの、咲良田は能力を忘れさせたままです。
そこで、浅井ケイは、ある物を使って、咲良田の能力を一時的に取り戻しました。
そうですね。佐々野さんが撮った、写真です。
この写真は、相馬からの指示で渡した本に挟んでありました。
つまりは、相馬のプレゼントの様な物です。
最後まで、相馬は浅井ケイの為に、動いていました。そう言う事を示唆する場面でもありました。
さて、この写真を撮ったのは、能力が残っていた当時の写真だという事。
そして、佐々野さんの能力は、10分間その世界を厳密に再現するという物でした。
※以下公式からの引用です
写真の中の世界 写真は時間と空間を切り取る。佐々野の能力で撮影された写真は、それを現実に再現することができる。正確には、写真の中の世界を再現した異空間を作り、条件を満たした人物をその異空間に移動させることができる。写真の中で現れる場所は、直前に現実でいた場所であり、写真から現実に出てくる場所は、直前に写真の中でいた場所である。つまり、写真の中で移動すると、現実での出現位置も移動する。佐々野が、開いた扉の写真を撮り、それを同じ場所で破れば、開いた扉が再現される。それにより、現実で加賀谷が扉をロックしていても、写真の中で扉を通る事ができ、再び現実に出現した時には通過する事が可能となる。
この事から、世界の在り方もそのまま厳密に再現します。
つまり、写真の中の咲良田は能力忘れる前の咲良田であるという事ですね。
ですから、この写真世界に入れば、咲良田の外から咲良田へ戻った時の様に、能力の事を唐突に思い出します。
ですが、ここで問題が生じます。
この春埼は、2年7カ月前に巻き戻された春埼です。
例え能力の事を思い出しても、ケイへの信頼は取り戻せません。
目の前の彼女には、浅井ケイへを信頼するに足る経験も記憶も無いのです。
彼女も聡明なので、彼の言っている事は理解できているのです。
正しいのだろうというのも、現状から推測できています。
ですが、能力は心から望まねば使えない為、彼女は能力を使う事が出来ません。
だからこそ、ここで第一、二話の伏線が生きてくるわけです。
彼女は、浅井ケイと出会う前は、自己に課したルールに乗っ取って生きていました。
目の前の彼女は、まさにその時の彼女です。
泣いている人を見たらリセットする
浅井ケイは全てを理解したうえで、ここに彼女を連れてきました。
綺麗に泣くために、色々と感情を抑え込み、ため込んできました。
能力を失った相馬菫は、別人の様でしたが、それでも幸せそうでした。
それを自分自身の身勝手な欲望で、壊してしまうと言う事実。
自分の我が儘で捨ててしまった家族との再会。
そして、自分の名前に籠められた親の愛を知って、生まれた複雑な感情。
更には、当たり前の様に傍にいた春埼からの容赦のない態度。
全ての感情をごちゃ混ぜにして、それでも何時までもその時の気持ちを忘れる事無く、
寸分たがわずその時の感情までも明確に思い出せる能力。
それが、記憶保持の本質です。
感情を揺さぶる全ての事柄を正確に思い出し……
臆病な彼は、彼女になりふり構わない本気の涙を見せた訳です。
だからこそ、春埼は、自分のルールに従い、リセットをしました。
リセットされ、戻った世界で最初にした彼女への抱擁。
これが、彼の全ての気持ちを代弁しています。
そして、母と妹との邂逅を経て、彼は決意を固めました。
自分自身の望みを再確認したと言っても良いかもしれませんね。
ここから、彼の自重しない反撃が始まります。
今回の記事はここまでとなります。
お読み頂き、ありがとうございました。
※本記事の画像は、 以下の権利者より引用させて頂きました。
問題のある場合は、削除致しますので、ご連絡下さい。
©河野裕・椎名優⁄KADOKAWA⁄アニメ「サクラダリセット」製作委員会
コメント
サクラダリセットにはまってしまったもののイマイチ理解できなかったのですがひょんなことからここにたどり着き今まで分からなかった事や描写などが詳しく解説されていて頭の中のモヤモヤがスッキリしました。その上でもう一度見てみると…この作品めちゃくちゃ面白い。そう思わせてくれた事に本当に感謝しています。
つづく
21話以降の解説も楽しみに待っています。おそらく理解できていない所が沢山あると思うのでw最終回を経て最大の謎は1話2話の続きを思わせる3/3が無かったことです。あれはなぜ3/1、3/2と言う表現をしたのでしょうか?なぜ2/1、2/2じゃいけなかったのでしょうか?わかりません。ともかくこの分かりやすい解説でサクラダリセットを大好きになりました。
164さんへ
こんにちはー。
まずは、お読み頂きありがとうございます!
そして、この記事が少しでもお役に立ったのなら、嬉しいです。
正直、このサクラダリセットと言う作品は、万人受けしない物なので、記事の需要はあまりないかなと思っておりました。
それでも、こうしてコメントいただけたことは、励みになりますし、1ファンとしましても、嬉しいです。
21話以降の記事は、鋭意作成中なのですが、情報量がめちゃくちゃ多い上に、時系列が複雑化しているので、まとめるのに時間がかかっております。
しばし、お時間をいただければ幸いです。
『MEMORY in CHILDREN 3/3』につきましては、表題がややこしいのですよね。
こちらは、第10話が相当するのですが、原作を読んだ私からすると、ちょっと勘違いしてしまう内容でした。
実は、アニメ版では省略されてしまいましたが、管理局との戦いが過去にあったのです。
そちらの件について、描くのかと思っていましたが、違っていましたね。
相馬菫の復活についてのお話が、そちらになります。
これは、過去の精算の意味合いもあり、流れとしても正しいものなのです。
そして、相麻菫の復活が、3/3となっていることで、前半戦終了の合図となるいうことですね。綺麗にまとまっております。
嬉しいコメントをありがとうございました。
また、記事を書きましたら、是非読んでやって下さい。
第10話に『MEMORY in CHILDREN 3/3』がちゃんと存在していたのですね。見落としていました。わたしは大きな勘違いを2つしていたようです。一つは当然のように3話目に描かれると思っていた事。そして二つ目は内容がくらかわまりを中心とした話の続きだと思っていた事。やっぱり、コメントしてよかったです。
164さんへ
またもコメントありがとうございました。
また一つ、謎が溶けたようで良かったです!
『MEMORY in CHILDREN』に関しては、ちょっと特殊な構成でしたから、勘違いしても仕方ない部分もあるかと思います。
私の記事でも、思いっきり勘違いしていましたから。
ですが、全体を通して、もう一度みてみると、納得の構成です。
その辺りも含めて、記事を書ければ良いのですが、お時間が取れるかどうか……。
とりあえず、お時間はかかると思いますが、続きの記事も書いておりますので、のんびりとお待ちいただければ嬉しく思います。
この作品は、見るたびに新しい発見があると思いますので、是非、存分に楽しんでいただければと思います。
ではでは。